もうすぐもうすぐと言いながら。

状況は何一つ進歩してません。いい加減しつこい程にまだ俺です。
マダオなのはいわずもがな。

思わず、救いはないんですかァ！？と叫びそうになる。
恐らく、ない！と即答される事でしょう。

何が言いたいのかというと背後の自業自得にちょっと腹立ち気味です。
何かこう、もうあのヒトは下血とかしちゃうといいと思います。
存分に悪い血を流しきれば少しはマシになるんではないでしょうかね、全くもう。
ああ、汚い話すみません。

結局の所、自分という存在を救えるのは多くの場合、自身の行動や決断等ではないかと。
己の自覚によるあたりは呪いとかと同じようなものでしょうね。
いくら周囲が助けてくれて、救われている状況であっても、
己がそう認めない限り救われないとか、そんな感じなのでしょう。

今日も今日とて脳内会議。
と、探し物で日が暮れました。

脳内会議は終わらない。


相変わらず夜娘は無駄にいじけてる、と思いきや、
何かモジモジしてる事に気がつきました。
小一時間問い詰める事にしました。

一応言葉を選びながらしつこく声を掛けてみる。
眉を八の字にして、不機嫌なのか困ってるのか良く分からない表情で、夜娘がぽつっと自供しました。

ノチェ「まだ、探してるの」
俺「というか決め兼ねてるのでは」
ノチェ「だって、わたしのセンスだと、喜んで貰える所をはずしそうで」
俺「むしろ季節はずしてます。そういうのは表に出て自分が直接見て吟味なさいな」

夜娘の言う探し物と言うのは心当たりがあります。
ずっと前に俺が探そうとしてこれだって物が見つけられなくて言い逃れしたものでしょう。
彼女がそれを探すのであればそれこそ自分が表に出て探すべきです。

と言うわけで、夜娘の首根っこつかんで表に出そうとしたんですが、なぜか必死に抵抗するんですよ。
女性には優しくしたい俺ですが、ある種自分だから容赦はあまりしません。
そのままじたばた掴み合い取っ組み合いで、結局勝負はつきませんでした。
俺の身体が元々ノーチェスという娘のものだから、力も同等なんですかね。

まあそんなやり取りをしてるわけなんですけれども、あくまでも脳内会議です。
幸いな事に傍目には寝てるようにみえるんじゃないでしょうか。
二人分の声で喚いてフシギなのた打ち回り方をしてる、なんて事はありません。

力づくで表に出そうとしても不毛な争いが続くだけなので二度としたくないと思います。
となれば、アマノイワトか何かみたいに出てこい出てこいなだめすかすしかないでしょうか。

俺「・・・じゃあ俺が用意すれば閉じこもりをやめてお役御免にしてくれるんですかね。」
ノチェ「えっと、ね、わたし、色々考えてるの。これが出来上がるまで待って」

言いながら、夜娘は己の懐を探ります。
いびつな球形をした、ボーダー柄の繊維の塊が顔を覗かせ、地面にダイブしていきました。
夜娘は慌てて大事そうに拾い上げて、大事そうに抱え直しました。

俺「えーと・・・・毒々しい卵ですか？」
ノチェ「違うわ！」

答えは今の住まいのあるエリアに生息するドブネコを模したモノを作っているらしい。
部屋に居るドブネコヒーローをモチーフにしたのだろうが、
耳も顔も足も付いてない、歪んだ卵型を見ただけで悟るのは難しいと思う。

俺「手芸の腕を磨きたいンなら尚更現実世界に出た方がいいと思いますが」
ノチェ「今完成させないと、あなたの器にならないもの」
俺「このでこぼこしたボーダー柄のゆで卵になれと？」
ノチェ「ぶ、不器用だけど、一生懸命、心は込めてるわ」
俺「まあそれは構わないんですが。脳内で作った器に俺の心やらを入れても物質化できないでしょうに」
ノチェ「うぅ！」

具現化するにしても、夜娘が表に出てないとどうにもなりませんのにね。
当人なりに真剣に考えてると言うのは、把握しましたが。
という事は俺と言う存在、意識は消滅しない方向になるのでしょう。
将来的に夜娘の哀願動物か何かになるんでしょうかね。

俺としては、眠い時に寝たいだけ眠れるなら文句はありません。